「食べる?ちょっと土ついてるけど。」
私たちがハウスに伺うと、いつも「美味(うまみ)ちゃん」の葉っぱをちぎってくれる、まこと農場の福田さん。
美味(うまみ)ちゃんというのはホウレン草なのですが、私たちのイメージにある、あの強烈なアクがありません。
ちぎってそのままかじれば、「え、ホウレン草ってこんなに美味しかったんだ」とちょっとしたカルチャーショックが味わえます。
そう言えば、私たちがホウレン草を食べる時って、まず鍋を1つ汚して(!)、必ず下ゆでしてクタッとなった状態がスタートラインですよね。それでも灰汁抜きが足りてなければ苦かったり、えぐみがあったり…。
そんな常識をあっさり覆してくれるのが美味ちゃん。
シチューにパスタ、シンプルな汁物だって「途中でちぎって放り込むだけ」で具だくさん&栄養豊富なお料理になっちゃう。
お店で出てくるような、シャキシャキの歯触りと風味を残したプロ級のおひたしも、テクニック要らず。
人を急に料理上手にする魔法のホウレン草です。
その上、冬場なら冷蔵庫で3週間(注:ご家庭の冷蔵庫だともう少し短いかも。)日持ちするとか・・・「常備野菜」の域ですよね。
ねえ福田さん、こんなホウレン草、どうやって作ってるんですか?
「特別な品種じゃなくて、タネは普通のホウレン草と一緒なんですよ。育て方が違うだけで。」
まこと農場では、まずハウスにいろんな工夫をしています。
ハウス周囲のビニールを地中深く埋めたり、土自体に高低差を付けたりして、外の水をほぼ完全にシャットアウト。(美味(うまみ)ちゃん栽培のために、40mの井戸も掘っちゃいました。)
ハウスの外の水路にもビニールを敷いて、空気中の有害物質を含んだ雨水は速やかにさようなら。
目の細かいネットで虫も入れないんですけど、もし入っちゃった場合は…
その一区画だけ、Let it be。それでも農薬は使いません。
そして、これが核心なのですが・・・
「ここで栽培を始める前、とある農学博士のところで1年半ほど学びましてね、オリジナルの液肥“富太郎”(仮)を作ったんですよ。」
もちろんその成分は企業秘密なのですが、その“富太郎”と既存の肥料とを「どうブレンドし、どう与えるか」・・・それがノウハウなのだとか。
(※富太郎の成分はあやしいクスリじゃなくて、ちゃんと岐阜県に肥料として届出・認可されている安全なものです。)
実は、このノウハウを活用すれば誰にでも無農薬&生で食べられるホウレン草が作れるし、既にハウスを持っている人なら何か特別に高価な設備を導入する必要も無いとのこと。しかもホウレン草栽培にはつきものの「連作障害」も起きなくて、同じ面積で収穫量も倍増・・・って、
ねえ福田さん、この話ちょっと信じがたいんですけど?
ちなみに「まこと農法」はホウレン草以外にも応用できるので、福田さん自身、ホウレン草の時期の後には「生で食べられる」小松菜・水菜・チンゲンサイなどの販売も予定しているとか。
この「まこと農法」の可能性はどこまで広がるんでしょう?
「近い将来には“富太郎”も販売したいし…私は、この農法を活用して、農業を自立した産業にしたいんですよ。」
まずは「仲間作り」、そして“助け合いの地域社会の実現”を目指し、やがては“世界の食糧難対策への貢献”もその視野に入れていると穏やかな笑顔で語る福田さん。う~ん、志が高い!
「安全でおいしくて栄養があって、手抜きをしながら料理上手になれるようなお野菜が欲しい!」という欲張りな私たち(笑)も、 農業の未来を模索している農家の方々や、まさにこれから農業を始めたいと考えている方々も、今後のまこと農場の動向には要注目!ですね。
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